諸君 私は



諸君 私は説得が好きだ
諸君 私は説得が好きだ
諸君 私は説得が大好きだ
 
無理押しが好きだ 買収が好きだ プレゼントが好きだ 恫喝が好きだ 小芝居が好きだ
泣き落としが好きだ データ収集が好きだ 色仕掛けが好きだ 三顧の礼が好きだ
港で 宮殿で 酒場で 山小屋で 社長室で 水晶玉の前で 研究院で 診察室で 火山で
この宇宙で行われる ありとあらゆる説得行為が大好きだ
宇宙の意志による 守護聖選択の一斉発射が 轟音と共に彼らの人生を 吹き飛ばすのが好きだ
空中に現れた石板の神器を見た守護聖候補が 腰を抜かして驚く時など 心がおどる
救援活動のための 寄付を求められ 貝殻細工を渡すのが好きだ
悲鳴を上げて 保釈金を集めようとしている男を 1万ゴールドの札束でなぎ倒した時など 胸がすくような気持ちだった
ウサギを見て気絶するありさまを 聖地にありのままに報告し 守護聖候補のプライドを 蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の守護聖候補が 夜の街で泣き叫び 車に轢かれそうになっている様など 感動すら覚える
金権主義の 町役場の役人に 絵画が持ち去られていく様などはもうたまらない
先に落ちると賭けた赤い花が 私の振り下ろした手の平とともに ばらばらと落下するのも最高だ
哀れな抵抗者が 水晶玉を手に 健気にも立ち上がってきたのを その水晶玉に映し出された未来が
守護聖就任を完膚無きまでに決定づけた時など 絶頂すら覚える
同行した神鳥の守護聖に 説得を滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に国を統治するはずだった国王が守護聖に選ばれ 父や国民を思い嘆く様は とてもとても悲しいものだ
叔母の一喝に押し潰されて 社長がクビになるのが好きだ
守護聖候補に店の外に放り出され 害虫の様に地べたを這い回るのは 屈辱の極みだ
 
諸君 私は説得を 地獄の様な説得を望んでいる
諸君 私に付き従う聖地戦友諸君 君達は一体 何を望んでいる?
更なる説得を望むか? 情け容赦のない 糞の様な説得を望むか?
権謀術数の限りを尽くし 三千世界を丸め込む 嵐の様な説得を望むか?
 
説得!! 説得!! 説得!!
 
よろしい ならば説得だ
我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
だが この生まれたての聖地の底で 人類発生までの間 堪え続けて来た我々に ただの説得ではもはや足りない!!
 
大説得を!! 一心不乱の大説得を!!
 
私は一個の女子高生 任期一年のエトワールに過ぎない
だが石板の神器は 一騎当千の古強者だと 私は信仰している
ならば我らは神器と私で 王立宇宙軍に匹敵する軍集団となる
聖地を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている守護聖候補を叩き起こそう
髪の毛をつかんで 引きずり下ろし 眼を開けさせ 思い出させよう
連中に聖地の味を 思い知らせてやる
連中の内に潜む 各々のサクリアを目覚めさせてやる
天と地とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い知らせてやる
奴らから拝受したサクリアで 宇宙を発展させ尽くしてやる
 
全フラッペン発動開始 宇宙船アウローラ始動
離床!! 全ワイヤー 全牽引線 解除
「最後の守護聖説得 エトワールより コンラッド船長へ」
目標 ロイエナン星系 惑星ジーレ上空!!
第二次プレゼント作戦 状況を開始せよ
 
征くぞ 諸君
女王陛下は動かない



わたしは当時27歳で…地下クラブのバーテンをしていました 経営者です
酒を作ったり 街を牛耳ったり とても忙しい仕事で 腐った街で生きるのはとてもいやでした
その日の夕方…まだ7時になっていなかったのですが 開店準備をしていました
そこにです あの女がやって来たのです
ふわふわした足取り やる気のある真っ赤な目 おさげの髪 におう田舎臭
一目でわかりました よそ者です
しかもまだコムスメのようでした
何か目的があってここに来たはいいが  建物は薄汚れて 住民は殺気立っている
想像していたものがこの街にはないと分かって困惑した感じがにじみ出ていました
そして驚いてるんだか怯えてるんだかわからない表情で 彼女はわたしに言いました

『どうか…守護聖に…なってください』

情けない声でした
わたしの顔に生えている無精ヒゲをを目でチラチラ追っていました
そしてわたしは急に腹が立ってきました 
わたしは密輸までしてこの街で必死に生きているんだ それなのに『守護聖』だと?
ムカつく奴だ そしてわたしは女にこう言いました

『おまえは芸人だったのか ツボに入ったじゃあないか!!』
『芸人ではありません ま…まずは話を聞いて…守護聖になればこの星を変えられ…ます 約束します』
『それはどうかな 芸人じゃないなら治安警察の手先だろう? 違うのか?
 おとぎ話ってのは子供に話して聞かせるもんなんだゼッ!』
『…………………………』
『おい!ふざけてんじゃあねーぞッ! こんなコムスメを送りこみやがって!
 聖地から来たとか言ってんじゃあねーぜッ! 逃げんなッ!』
『治安警察に…私が治安警察の手先に見えるって言うのかッ!』
『え!?』
『私は今ッ!暗い海よりも深い【絶望】の中にいる!おまえから与えられてな!
 私は忘れねえッ!てめーの顔は決してッ!この報いはッ!償わせてやるッ!必ずッ!
 私は戻ってくるッ!お前が【逮捕された時】必ずッ!おまえを迎えに戻ってくるぜッ!いいなッ!』
『うわあああッ!なんだてめーはぁー!』
ガラハド



フランシス  「じゃくてんの ウサギで きぜつしたぞ!」
 
 
(わたしは、このことを……)
 
  :けして いいません
 
            土 冂 ノ土
→ :ありのままに ¥ノ又  口 します
 
  :あなたしだいで かんがえます
 
 
フランシス  「な なにをする レディー!」

執務室で愛の告白



あぁ、レディ!
レディ!
好きだァー! レディ! 愛しているんだ! レディー!
闇の守護聖になる前から
好きだったんだ!
好きなんてもんじゃない!
レディの事はもっと知りたいんだ!
レディの事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
レディに満たされたいんだァ!
二人とも王子になっちゃうくらい満たされたーい!
守護聖になる条件は
あなたがそばにいることです! レディッ! 好きだ!
レディーーーっ! 愛しているんだよ!
私のこの心のうちの叫びを
きいてくれー! 罪なレディー!
キリエヴィルで会ってから、レディを知ってから、私はあなたの虜になってしまったんだ!
愛してるってこと! 好きだってこと! 私の顔を見ないで!
危険なレディが私の心の均衡を崩さなければ、私はこんなに苦しまなくってすむんです。
優しいレディなら、私のこんなありさまを見て、聖地にありのまま報告するでしょう
私はあなたを私のものにしたいんだ! その美しい心と美しいすべてを!
誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
恋敵がいるなら、今すぐ出てこい! 相手になってやる!
でもレディが私の愛に応えてくれれば戦いません
私はレディを抱きしめるだけです! あなたの心の奥底にまでキスをします!
力一杯のキスをまずは額にお許しください!
キスだけじゃない! 心からあなたに尽くします! それが私の喜びなんだから
喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます!
レディ! あなたがウサギの前に素っ裸で出ろというのなら、やってもみせる!
ヨハネスブルグ



過労死したい人にお薦めの危険な職業エトワール

・ベテラン守護聖が9人いるなら大丈夫だろうと思っていたらさらに9人のスカウトを頼まれた
・聖地から船で1日の惑星で女王側近が頭から血を流して倒れていた
・デート中に足元がぐにゃりとしたので見てみると守護聖がウサギの前で気絶していた
・腕輪が精霊に襲撃され、目が覚めたら相棒がいなくなっていた
・主星見学と騙されて聖地に連れてこられた、というか連れてきた後から説明とかを始める
・サクリアが精霊に独占され、光も「闇も」全員ロマンティックウェイブ
・月から金の曜日までの5日間毎晩メールに襲われた。
・渡航中なら休めるだろうと思ったら、船の乗客に守護聖が含まれていた
・女性の1/3が女王試験経験者。しかも恋が宇宙を育てるという都市伝説から「乙女ほど危ない」
・「今日はここまでにするか」といってた守護聖が深夜「まだ帰さねェ」と言い出した
・「何も持たなければ誕生日を祝えるわけがない」と手ぶらで出て行ったエトワールが歌を歌わされて戻ってきた
・最近流行っている集まりは「お茶会」 土の曜日の午後から夜になるまで続く
・親密度200の守護聖にデートに誘われる確率が150%。一度断ってまたメールが来る確率が50%の意味
・1年過ぎても聖地から帰ってこなかったエトワールは約120人、うち約20人が聖天使