おそろしいことに日記のネタを考える夢を見てしまいました。以下転載(夢から)

「先生。おなか痛いです」
「そうか。保健係、保健室についていってやれ」
「先生。トイレ行きたいです」
「そうか。トイレ係、トイレについていってやれ」
「先生。給食費を盗みました」
「そうか。罰係、罰を考えてくれ」
「ファ、ファミコン?」

 意味不明ではあるものの、普段の自分にはない何かを感じた。
「ガキの頃俺はね」
「はあ」
「パイロットになりたかったんだよ」
「へええ」
「『SOS、SOS。我が機はハイジャックされた』」
「いきなりですか」
「そう、俺の副操縦士としての初めてのフライトで事件は起こるんだ。ジャンボジェットは一瞬にして恐怖の空の城と化した」
「しかしSOSって違う気が」
「『機長、落ち着いてください。あっ何をするんです! 機長!……プツッ』突然のことにパニックになった機長、操作を誤って機首を急降下させた上に無線も切ってしまう」
「どんな操作したんです」
「あせる空港管制室。『おい、どうした? 何があったんだ。もしもし? もしもし?』」
「もしもしってのも違う気が」
「『あ、危ない!』俺はあわてて操縦桿に飛びついた。山が目の前にせまっていたが、機体を80度ほど傾けることであやうく正面衝突はまぬがれた」
「ジャンボジェットとか言ってませんでしたっけ」
「しかし機体が横倒しになった衝撃は大きく、客席からは悲鳴が聞こえた。キャー。ワー。アテンションプリーズ」
「ばか」
「運の悪いことにそこは山脈地帯、山は次々と目の前に現れる。さあ、腕の見せ所だ。映画とかにある、車がたくさん走ってる道路でカーチェイスするあれみたいな要領で、機体を臨機応変に傾けつつ山々を避けていく俺」
「要領でって言われても」
「『神業だ』舌を巻く機長」
「パニックはおさまったんですね、機長」
「機体の激しい回転に、客の悲鳴は絶えない。キャー。ワー。お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」
「というかハイジャック犯は何してるんですか」
「そうなんだ、ハイジャック犯は他の客と違って立っているから、この衝撃をもろに受ける。何人かは壁に頭をぶつけて意識不明になっていた。スチュワーデスは彼らを手当てさせるために医者を探しているというわけだ」
「そんな中でどうやって手当てを」
「さて仲間をやられたハイジャック犯のリーダーは、怒って操縦席に乗り込んできた。今までのアクロバット飛行を、ハイジャック犯を倒すためにやっているのだと邪推したのだ」
「まあ、そう思うのも無理はないでしょうけど」
「操縦桿を握る俺の肩をつかむリーダー。『てめえ、いいかげんにしろ!』」
「なんかもっともな言い分に思えた」
「しかしなんということだろう、ちょうど俺は山脈の最後の山を避けようとしていたところだったのだ。肩をつかまれ微妙な感覚が狂う。危ない! ぶつかる! 必死で巻き返す俺。目の前に岩壁がせまる!」
「ジャンボジェット?」
「ガリガリガリー。ぶつかりはしなかったものの、山肌に翼をこすってしまった」
「いや、だから……」
「『くそっ。今のでエンジンがやられた。せっかく山脈をぬけたのに』焦りを隠せない俺。リーダーは自分の誤解にやっと気づく。『わざとやってたんじゃなかったのか』」
「はあ」
「『当たり前だろう』機長が立ち上がり、毅然とした態度でリーダーに言う。『我々パイロットは、人の命を盾に要求をつきつける君たちとは違う。その技術はすべて、乗客の安全のためにあるのだ』」
「お前が言うなという感じですね」
「無言になり、うつむくリーダー。機長はさらに怒りをぶつける。『君たちの行為のために、今この機は墜落しつつある。罪もない多くの人命が失われるのだ。恥ずかしいとは思わないのか!』」
「お前はどうなんだという感じですね」
「顔を上げるリーダー。今までとは違う、静かな声で言う。『悪かったよ。客席のやつらにはあの世で謝ることにしよう。何の償いもできないが……』その言葉をさえぎる俺。『この世でなら償えるだろう。誰も死なせやしない』」
「リーダー全然悪そうじゃないなあ」
「『助かるのか?』驚くリーダー、すさまじい勢いでせまってくる地面からはさきほどよりは低いもののまたもけわしい山々が生えている。『どうやって?』」
「ふむ」
「『さっき通ったところに、着陸できそうな場所があった』『さっきだって? ……なんて視力だ……』」
「妙な驚き方しますね」
「旋回しつつ、徐々にそこに近づいてゆく。悲鳴をあげる機長。『ま、まさかあそこに降りようというのではないだろうね! 無茶だ! やめたまえ!』」
「ほんとに機長なんですかその人」
「やがてリーダーにもその場所が見えてくる。しかしそこはあまりにも小さく見え、言葉が出ない。やはり無理ではないか、リーダーの心が絶望に染められたその時、俺は機内放送のスイッチを入れた。『乗客の皆さん、これよりたいへん微妙な操縦が求められる着陸に入ります。決して動かず、そのままの姿勢でお待ちください』」
「こんなこと言われたくないなあ」
「そうしている間にも俺の目は着陸地点を見すえ、指先は繊細に動き続ける。『こいつ、本当にあきらめてない。もしかしたら……』緊張で硬直するリーダー」
「はあ」
「しばらくして、さっきの放送を聞いてからほとんど息もしていない乗客の耳に、新しい放送が入ってくる。『皆さん、ご協力ありがとうございました。無事、着陸に成功いたしました』え? 顔を見合わせる乗客たち。あまりに静かに着陸したため、誰も着陸したことに気づかなかったのだ」
「緊急着陸じゃなかったんですか」
「だからすごいんじゃないか。あまりの神業にぼうぜんとしているリーダーに、俺はようやく緊張のほどけた笑顔で言う。『改めてジャックするなんて言わないでくれよ』苦笑いするリーダー」
「ハイジャックした人たち、結局何もしてませんよね。ケガしただけですか」
「やがて救助隊がかけつけ、ハイジャック犯たちは逮捕された。去り際、俺に声をかけるリーダー。『ありがとう。あんたのおかげで、人生をやりなおせる』」
「要求が何だったのかも分からないし」
「そんなこんなで一件落着。しかし帰り際にスチュワーデスの皆さんの集中砲火を浴びる俺。『見てくださいよ、このアザ』『あんなアクロバット飛行するから』『何考えてるんですか』やれやれ、ハイジャックより怖いぜ!」
「めでたしめでたし。はい、それじゃさようなら」
「お待たせいたしました。ビーフカレーのお客様」
「はーい」
「早かったな」
「うん。外でカレー食べるのひさしぶ……まずい」
「ありゃ」
「きっとこれウンコだ」
「…………」
「何だよその目は」
「いや、いい年してカレーからすぐウンコを連想するのはどうかと思って」
「なるほど」
「せめて三段論法にしてほしかった」
「そうか。じゃあ1段目、このカレーはまずい」
「うん」
「2段目、だからウンコに違いない」
「いや、変わってないし」
「3段目、ウンコってこんな味がするのか」
「後ろに付け足してどうする」

「ねえ。後ろの席の人たちさあ」
「あんな大声でねえ……」
「お待たせいたしました。ビーフカレーのお客様」
「はい」
「あれっ。ビーフカレーだったんだ」
「うん。食べたくないなあ」
「いいじゃん、さっきからどんな味なのか気になってたんだよ」
「人ごとだと思って……。ま、しかしとりあえず一口……」
「どう? どう? ほんとにまずい?」
「4段目、誰が出したウンコだろう」
「そんなにまずいの? ちょっとちょうだい」
「どうぞ。全部どうぞ」
「いえ、一口でいいです。では……」
「まずいでしょ」
「5段目、これは店長のものだ」
「なぜ」
「今日はどのように」
「本数減らしてください。長さはこのままで」
「かしこまりました。せーのっ」
 ブチブチブチ

 美容師さんは皆このような願望を持っているという妄想にとりつかれている。
「最近、夜見る夢と白昼夢の区別がつかないんだ」
「どうでもいいじゃないか」
「なんだよ。冷たいな」
「だってどっちも夢だろ。夢と現実ならまずいかもしれないけどさ」
「それはそうだけど、困ることもあるんだ」
「どんな」
「たとえば僕はこないだ、わずか3歳のピアノの天才になって、満員のホールで演奏する夢を見た」
「へー」
「ところが演奏が終わると、客はパラパラとしか拍手をくれない。僕は怒って、まだ回らない舌で客に言ったんだ。『はくちゅー。もっとはくちゅー』。言ってからハッと気づいた。これがほんとの白昼夢、と」
「それで」
「ところが今考えると、あれは夜見た夢のような気もする」
「どうでもいいじゃないか」
「もしも日本が大量に石油が出る国だったらさ」
「うん」
「ポチがここ掘れワンワンて吠えたら、次のシーンは石油王だよね」
「そうだね。巨大御殿のさし絵だね」
「意地悪じいさんなんかもう近づけないよね」
「そうだね。足元にも寄れないね」
「もう花とかどうでもいいよね」
「そうだね。石油王だもんね」
「ああ。石油王かー」
「石油王かー」
 ゴロゴロゴロ
「フー。フー。重いなあ」
「よう。大変そうだな」
「あ、ゴリバホくん。そ、そんなことないよ、大丈夫だよ」
「ああそう。まあそれはいいんだけどよ、ちょっと金貸してくれや」
「そ、そんな。お金なんか持ってないよ」
「ああ? じゃあその転がしてんのは何よ?」
「こ、これはただの石だよ」
「へえー。ただの石。ふーん。まあいいや、じゃあそのただの石貸してくれ」
「だめ、だめだよ。ナウマン象の肉を買わなきゃいけないんだ」
「やっぱ金じゃん。ナウマンなんてまずいって。ほら、貸せよ。よこせ」
「だめだよ。だめだってば、あっ!」
「う、うわーっ!」
 ズズウン

「忘れちゃいけないよ。金には人を殺す力があるということをね」
「平家の怨霊をモチーフにした小説とか映画とかを作る時は、神社でお払いするらしいよ」
「へえー」
「あ、聞いたことある。そうしないと呪われるとかって」
「すごいね、そんなこと本気で信じてるのかな」
「気休めみたいなもんじゃない?」
「私だったら何もしないな。絶対平気だもん」
「お、言ったな」
「平気だよ、霊とか信じてないから。え、何、怖いの? 信じてるの?」
「やーい。信じてる人ー」
「信じてないよ。私だって平気だよ」
「ふーん」
「ほんとかなー」
「ほんとだってば。平気だよ」
「あ。ねえねえ、これで肝試ししてみない?」
「肝試し?」
「平家の怨霊をモチーフにした話を作るの。一番罰当たりな話考えた人が勝ち」
「おー。やろうやろう」
「いいよ。やろうよ」
「では、それぞれ紙にストーリーを書いてください」
「うーん」
「むー」
「書けた?」
「書けた」
「私も書けた」
「じゃあ、いっせいに見せあおう。せーの」

・北条静香は平凡な女子中学生。でも修学旅行で行った壇ノ浦で、そんな彼女に平家の怨霊がとりついてしまった! 恋に部活に勉強? に、いつも一生懸命な静香とそれを見守る怨霊とのハートフルコメディ

・一族きっての頭脳と予知能力を兼ね備えた男、平重盛が現代に降臨。平家の怨霊がとりついて起こる殺人事件を未然に防ぐ。殺人準備段階の犯人の前に現れ、道具と状況だけで事件前にトリックを解明する新感覚探偵ストーリー

・祖父の蔵の中で開けてしまった箱には、平家108の怨霊が封じ込められていた。しかし東北に現れた弁慶の大怨霊との戦いのために一時休戦、協力関係になる人間と怨霊。戦いの中で次第に芽生える彼らの友情物語

「……みんな意外と度胸ないね」
「織姫、僕と別れてくれないか」
「えっ! どうして!?」
「1年の別離は長すぎて、僕には将来を誓い合う相手ができてしまった」
「そんな……」
「紹介するよ。牛の花子だ」
「モー」
「キャアアアア! はっ。ゆ、夢か……」

「彦星さん、私と別れてほしいの」
「えっ! 一体なぜ!?」
「1年の別離は長すぎて、私には将来を誓い合う相手ができてしまった」
「そんな……」
「紹介するわ。織り機の太郎さんよ」
「パッタンパッタン」
「うわああああ! はっ。ゆ、夢か……」

「パッタンパッタン。花子さん、俺とパッタン別れてくれ」
「モー!? モーモモー!」
「1年のパッタン別離は長すぎて、俺には将来をパッタン誓い合う相手がパッタンできてしまった」
「モ……」
「紹介するよ、カササギの安吉くんだ」
「はじめまして。ごめんな、花子さん」
「モー────!!」

「うわあ!」
「ど、どうしたの? 安吉」
「ゆ、夢か……」
「天の川の橋になりながら居眠り? カササギの風上にも置けないわね」
「しっかりしろよ。年に一度のイベントだぞ」
「あ、ああ」
「あっ、彦星さんが来たぞ!」
「こっちからは織姫さんだ」
「おい、あれ!」
「何だよ安吉」
「彦星さん、牛を連れてるぞ」
「毎年連れてるだろ。寝ぼけるなバカ」
「シーッ。静かにしろ、感動の再会だぞ」
「織姫……1年ぶりだね」
「彦星さん……」
「毎日思い続けた君の面影より、本物の君の方がずっときれいだ」
「あ、ありがとう。……あの、彦星さん」
「なんだい」
「その牛は、なんという名前なの?」
「牛? この牛なら花子という名前だけど」
「花子……花子! い、いやああああ!」
「織姫! 待ってくれ、どうしたっていうんだよ!」
「いや、来ないで、あっ!」
 ズルッ
「織姫!」
「うわあ、織姫さんが」
「橋から落ちた!」
 ドサッ
「あ、誰かが受けとめたぞ」
「あれは安吉だ」
「いつのまに……」

「大丈夫ですか、織姫さん」
「あ、ありがとう、カササギさん」
「たいしたことじゃありません。橋の上に戻りますか?」
「……ううん。戻りたくない」
「そうですか」
「1年ぶりの恋人との再会なのにね。おかしいと思うでしょ」
「いいえ。僕も牛の名前を聞いた瞬間、あそこから逃げ出してしまったから」
「そう……。よかった、あなたがいてくれて」
「もっと上流に行きましょうか。景色がきれいなところを知ってるんだ」
「ええ、お願い。2人でずうっと……遠くに行きましょう」

「それ以来、織姫と安吉の姿を見た者は誰もいないのさ」
「ああ、何度聞いてもロマンチックな話……」
「夢でつながった運命の2人だったのよね」
「おーい、そろそろおしゃべりをやめろ。年に一度のイベントだぞ」
「そうそう、カササギはちゃんと橋に徹しないとね」
「あっ、来たぞ!」
「こっちからも」
「パッタンパッタン。花子さん……パッタン1年ぶりだね」
「モー……モーモー」
「やっぱりお似合いよね、太郎さんと花子さん」
「この2人のために橋を作れてうれしいよ」
「シーッ。静かにしろ、感動の再会だぞ」
 ガンガンガン
「判決を下す。プリンは地獄行き」
「閻魔大王様! お、お慈悲を!」
「黙れ!」
 ガンガン
「容器の底の爪が変なふうに折れて皿に移せなかった罪は大きい」
「それは折った人間か容器のせいです、私のせいじゃ」
「容器の罪はプリンの罪である!」
 ガンガン
「ひったてい! まずは針の山を登らせるのだ」
「わあああ。ぐずぐずになってしまう」
「大王様、いくらなんでもプリンに針の山は……」
「む、そうか。では釜ゆでだ」
「わあああ。ばらばらになってしまう」
「大王様、いくらなんでもプリンに釜ゆでは……」
「む、そうか。では血の池だ」
「わあああ。真っ赤になってしまう」
「それくらい我慢しろ」
「わあああ」
「火あぶりまでねばって焼きプリンになろうとしてもそうはいかん」
「わあああ」